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相続税の仕組み
 
 税理士 三輪 厚二 氏


前回のポイント
・相続時精算課税制度の贈与は、相続税がかからない人は積極的に利用するとよい。相続税がかかる人でも、所得税の節税や相続税の節税につながる方法もあるので検討してみるとよい。生前に財産の分割ができるというメリットもある。

・「相続時精算課税制度の贈与」には、一般型と住宅型とがある。

・一般型は2500万円まで、住宅型は3500万円まで課税されずに贈与できる。

・一般型と住宅型を併用することはできない。

 相続時精算課税制度の贈与については、だいたい理解できた山田社長。今回は相続税の仕組みについてのお話です。


◎相続税の仕組み
   
税理士  暑いですねぇ、社長。
   
社 長  あっ、先生。まいど。ほんま、ムチャクチャ暑いですなぁ。こう暑いと仕事する気にもなりまへんなぁ。
   
税理士  と思いましてね、この前の続きでもしようかと。。
   
社 長  おぉ、いいですなぁ。やりまひょ。
 ……で、今回は何を。
   
税理士  そうですね。今回は、相続税の仕組みでも覚えてもらおうかと思うんですが。
   
社 長  相続税の仕組みですか。いよいよですな。……でもまた難しいんでっしゃろ。
   
税理士  えぇっ、いゃぁ……ちょっとだけね。
   
社 長  やっぱり……。ようやくこれまでのとこが整理できたかなぁってとこやのに……。
   
税理士  そうですか、だいたい理解していただけましたか。
   
社 長  えっ、えぇ。……だいたい。
   
税理士  じゃあ、次いきましょ。また何か、わからないことがあればおっしゃってくださいね。
 じゃあ、まずこれを見てください。これが相続税の計算方法なんです。(次頁以下、@〜E参照)
   
社 長  おっ、結構わかりやすそうやね。
   
 

                     
◎相続税の対象となる財産
   
税理士  まず初めに正味の遺産総額を求めます。正味の遺産総額というのは、相続財産の総額から借入金などの債務や葬式費用を控除するのですが、相続財産の総額には、預金や株、土地などの本来の相続財産の他に生命保険金や退職金などのみなし相続財産や相続時精算課税制度の適用を受けた財産、それに相続開始前3年以内にした贈与財産も含まれますので、ここんとこ、ちょっと注意しておいてください。
   
社 長  あーそれ、覚えてまっせ。相続時精算課税の対象となった財産は相続財産になるんでしたな。でも……生命保険金や退職金が相続財産になるのはなんとなくわかるんやけど、相続開始前3年以内の贈与財産って……? こんなんも相続財産になるんでっか?
   
税理士  ええ、まぁこれは節税封じとでもいいますか、こういう規定がないと、ボチボチ危なくなってきたなぁって思ったら、みんな、贈与して相続税の負担を軽くしようってするでしょ。
   
社 長  あぁなるほど、それでか。
   
税理士  でも、これは相続人に対する贈与だけですから、相続人でない人、たとえば社長のとこでしたらお孫さんに対してした贈与っていうのは対象にならないんですよ。
   
社 長  あっそうなん。じゃあ、そうなったら孫に贈与すればいいんですな。
   
税理士  まぁそういうことですね。贈与税はかかりますけど……。
   
社 長  それと先生、生命保険には税金がかからへんって聞いたことがあるんやけど?
   
税理士  はい、法定相続人の数に500万円をかけた金額までは非課税です。社長とこでしたら、奥さんと子どもさん3人、合計4人やから……2000万円までが非課税……ですね。
   
社 長  あ、なるほど。
   
税理士  それに、遺産分割でもめそうなところは、生前にこの制度を活用しておくと、トラブルが避けられるってこともありますね。たとえば、社長のとこでしたら、株をご長男に贈与する代わりに、他のご兄弟には他の財産を贈与するとかで……。まぁ、生前の遺産分割みたいなもんにこの制度を使うわけですわ。
   
社 長  あぁ、そう。
   
税理士  これは退職金も同じ取扱いです。
   
社 長  ……ってことは4000万円までは非課税……かぁ。これは使わんともったいないなぁ。
   
税理士  そうですね。
   
社 長  あー、その法定相続人っちゅうのは?
   
税理士  法定相続人っていうのは、民法に定める相続人のことでして、範囲と順位がこういうふうに決められてましてね、それ以外の人が相続人になろうとしてもなることができないものなんです。
   
 
第1順位 配偶者と子供(子が亡くなっている場合は孫)
第2順位 配偶者と父母(父母がなくなっている場合は祖父母)
第3順位 配偶者と兄弟姉妹
   
社 長  へぇー、そう。そういえば法定相続分っていうのもあるわな。
   
税理士  法定相続分というのは、相続人が2人以上いる場合に、どのような割合で被相続人の財産に帰属する権利義務を承継するかというものを定めたもので、具体的にはこんなふうになっています。
   
 
@ 配偶者と子が相続人の場合 ⇒ 配偶者2分の1、子2分の1
A 配偶者と両親が相続人の場合 ⇒ 配偶者3分の2、両親3分の1
B 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合 ⇒ 配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1
   
社 長  ふーん。
   
税理士  でも、これは、法定相続分で財産を分けないといけないってことではないですからね。誤解しないでください。
   
社 長  えっ。これで分けなあかんのと違うの?
   
税理士  いやいや、そうではないんですよ。
 分割は遺言があれば遺言に従い、ない場合は相続人全員で協議して分けるってことになります。ですから、遺産分割対策が必要になるんでした……でしょ。
   
社 長  ……あ、そやったそやった。遺産分割対策な。
   

(つづく)

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(納税月報 2004年9月号より)

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