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相続時精算課税制度って?(2)
 
 税理士 三輪 厚二 氏


前回のポイント
・贈与には、110万円が非課税となる「通常の贈与」と2500万円まで贈与税がかからない「相続時精算課税制度の贈与」とがある。

・相続時精算課税制度の贈与は、一定の年齢に達した親子間が選択することによって認められる制度だが、いったんこれを選択すると、その後その親子間では通常の贈与はできなくなるので注意が必要である。

・相続時精算課税制度の対象とした贈与財産は、その贈与者の相続時に相続財産として加算され、相続税が計算される。

 相続時精算課税制度の概略が理解できた山田社長。今回はその活用方法と、住宅型の相続時精算課税制度のお話です。
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◎どんな人が使うとよいか
   
税理士  それでは、まず精算課税制度は、どのような人が使うといいかというところからお話しましょうか。
   
社 長  はい。
   
税理士  えーっと、まず……相続税がかからない人……ですね。精算課税制度では、贈与した財産が相続税の対象に取り込まれるってことでしたが、相続税がかからない人であれば相続税の対象にされても一向にかまわないわけですから、こういう人は、ドンドン贈与したらいいと思います。
   
社 長  なるほど。
   
税理士  そして、相続税の実効税率が20%以内の人。精算課税制度は、2500万円を超える贈与をすると20%の贈与税が課税されるってことですから、相続税のかかる人のうち、実効税率が20%以内の人であれば、税額を先に払うか後で払うかという違いはありますけど、早い段階で財産の移転ができ、また、計画的に行えるという点で実行するメリットはあると思います。
   
社 長  うん、なるほど……で、実効税率っていうのは?
   
税理士  実効税率というのは、税額が財産の何パーセントかというものを表すもので、相続税額を試算してみるとわかります。
   
社 長  ふーん。
   
税理士  また、相続税の実効税率が20%を超える人でも、@特定の財産を生前に承継でき、A遺産分割をめぐるトラブルを解消しておけること、B事業承継者に対しては、経営に必要な自社株を渡しておくことができること、Cとりあえずは20%の贈与税率で財産移転ができることなどのメリットがありますので、検討してみるといいと思います。
   
社 長  なるほど、事前に株式などが渡せる……か。しかも、とりあえずは20%の税率で。
   
◎どのように使うか
   
税理士  はい。次に使い方。まぁ、一般的な使い方は、子どもへの資金援助ですね。ローンの返済資金であるとか、車や住宅資金の頭金などに活用するといった方法が考えられます。
   
社 長  ふむ。
   
税理士  そして、所得税対策。
   
社 長  所得税対策? これで税金が安くなりますの。
   
税理士  ええ、たとえば賃貸物件などの収益物件を子どもに贈与したりすればね。そうすれば、子どもに収入を移すことができますし……。また、土地の評価が高ければ、上物だけ贈与してもいいですし……ね。
   
社 長  あぁ、そうかぁ。
   
税理士  それと、これは相続対策にもなるんですよ。
   
社 長  えっ、相続対策? 精算課税って相続対策にはならんのと違いましたっけ?
   
税理士  ええ、基本的にはね。でも今の話、収益物件を贈与したり、値上がりしそうな財産を先に贈与しておけば、将来の相続税は確実に下がりますでしょ。
   
社 長  あ、なるほど。
   
税理士  それに、遺産分割でもめそうなところは、生前にこの制度を活用しておくと、トラブルが避けられるってこともありますね。たとえば、社長のとこでしたら、株をご長男に贈与する代わりに、他のご兄弟には他の財産を贈与するとかで……。まぁ、生前の遺産分割みたいなもんにこの制度を使うわけですわ。
   
社 長  生前遺産分割……かぁ。
   
◎どんな財産を贈与する
   
税理士  次はどんな財産を贈与するといいかですが、これはその目的によって違ってきます。資金援助であれば現金ですし、所得税対策であれば収益物件、相続対策であれば、評価の上昇が見込まれるものや収益物件、遺産分割対策であればそれぞれの物というように……ね。
   
社 長  な〜るほど。
   
税理士  社長のとこでしたら、雅一さんには株。
   
社 長  はい。
   
税理士  亮二さんと智子さんには……。
   
社 長  ……。
   
税理士  社長、お2人のことも考えておかないといけませんよ。でないと、将来、もめますから。
   
社 長  はぁ。……!! そういやぁ、この前、亮二が家欲しいって言うてましたわ。これで、ちょっと応援したりまひょか。
   
住宅型相続時精算課税制度の概要
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◎住宅型の精算課税制度
   
税理士  あぁ、そりゃあいいかも知れませんね。でも住宅資金でしたら、これと似た制度で3500万円まで贈与税がかからないって制度もありますが……。
   
社 長  えっ、ナニ。そんなんもあるの?
   
税理士  ええ、資金使途は住宅の取得や増改築に限定されますけどね。えぇーっと、住宅型は上の表を参考にしてください。
社 長 あぁ、どうも。
   
社 長  あぁ、どうも。
   
社 長  一般の精算課税とよく似てるけど、どこが違いますのん。
   
税理士  そうですね。大枠は同じですが、住宅型は贈与財産が金銭に限定されること、資金使途が住宅取得等に限られるという制約がある反面、贈与者の年齢制限がなく、特別控除が3500万円まで認められるといった点に違いがありますね。
   
  [相続時生産課税制度との違い]
  相続時精算課税制度 住宅型相続時精算課税制度
贈与財産 制限なし 金銭
資金使途 制限なし 自宅取得資金又は自宅の増改築資金、
贈与年の翌年3月15日までに居住すること
贈与者 満65歳以上 制限なし
特別控除 2,500万円 3,500万円(1,000万円+2,500万円)
・本来の特別控除は1,000万円
・ただし、一般の特別控除2,500万円と合計
したものが特別控除として使える
適用期限 なし 平成17年12月31日まで
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社 長  ほう。ってことは、これと一般のとを使ったら……。3500万円と2500万円やから6000万円まで贈与税がかからへんってことですな。
   
税理士  あっいや、この制度の特別控除はあくまでも1000万円で、この制度を使う場合には、一般の特別控除2500万円も使えるということでして、その両方が使えるというわけではないんです。
   
社 長  えっ? どういうこと?
   
税理士  あっいや、この制度の特別控除はあくまでも1000万円で、この制度を使う場合には、一般の特別控除2500万円も使えるということでして、その両方が使えるというわけではないんです。
   
社 長  えっ? どういうこと?
   
税理士  つまり、一般の精算課税の特別控除をまったく使っていなくてこの制度を使う場合には、この制度の特別控除1000万円のほかに、一般の精算課税の特別控除2500万円も使える(合計3500万円)けど、住宅型の精算課税贈与で一般の特別控除2500万円を使ってしまった場合には、その後に一般の精算課税制度の対象となる贈与をしても、その贈与については一般の精算課税制度の特別控除2500万円は使えないということでして、重複して特別控除が使えるというわけではないんですわ。
   
社 長  な〜んや。そぅかぁ。でも、どっちを使うたらええんやろなぁ。
   
税理士  まぁ、どっちを使うかはもう少し検討するとして、兄弟間で不公平感がないようにだけはしておいてくださいね。
   
社 長  はいはい。……でもまだ、実際問題どうしたらいいか、さっぱりわからんのですよねぇ。
   
税理士  はぁ、そうかもしれませんねぇ。まぁ、今日はこういう方法もあるってことを知っていただくということで。
   
社 長  はぁ。
   
税理士  次回、相続の仕組みや事業承継の進め方などを勉強しましょう。
   
社 長  はい。じゃあ、それまでにちょっと頭を整理しときますわ。
   
税理士  そうですね。

(つづく)
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相続、相続税対策のことなら大阪の三輪税理士事務所                                                    
(納税月報 2004年8月号より)

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