相続 税理士 相続税対策 相続税の申告なら

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同族会社の事業継承すべてまあるくおさめます
病院の待合室にて
 
 税理士 三輪 厚二 氏

相続 税理士 相続税対策 相続税の申告なら大阪の三輪税理士事務所
前回のポイント
・事業承継はじっくり時間をかけて。
・後継者教育をまず、しっかりと。
 胃の再検査をきっかけに事業承継に取り組む決意をした山田社長、事業承継に対する取り組み方が少し理解できたようです。
 今回は対策の全体像をお話しましょう。

遺産分割対策
相続税対策
後継者対策
その他の対策
不動産対策
自社株対策
節税対策
納税資金対策
事業承継対策

◎上手な事業承継対策って?
   
税理士  ここまで、だいたい理解していただけました?
   
社 長  ええ、まず事業承継っていうのは、
 時間をかけてじっくりやっていかなあかんってこと……でしたな。
   
税理士  ええ、小手先でできるもんではありませんからね。
   
社 長  そして、後継者には会社のいろんなことを教えて、私がおらんでも会社がスムーズに動いていく体制を作らなあかんってことでした。
   
税理士  そうです。まず会社の経営ありきで進めていかなければなりません。
 税務対策は、こうしたことと並行してやっていけばいいんです。
 株価がいくらでどうすれば安くなるかとか、相続税がどれぐらいで、どうやってそれを払うかとか、財産をもめずに分けるにはどうするかとか……いろいろありますけど。こちらも一遍にはいきませんからボチボチと社長の考えをお聞きしながら、そして会社の状況を見ながらやっていくことになります。
   
社 長  へぇー、事業承継っていうのは思ったより大変なんやなぁ。
   
税理士  そうですよ。
 社長、ちょっとこちらを見ていただけますか。事業承継っていうのは、ざっとこんな感じになっていましてね、3つの大きな柱があるんです。
 1つは、これまでお話してきた後継者対策。後継者を教育し、育成していくというものですね。
 2つ目が相続税対策。これは、相続税額の負担を軽くする節税対策と、それをどうやって払うかという納税資金対策とに分けられ、節税対策は、さらに財産の種類によって自社株対策、不動産対策、その他の対策に分けられます。
 そして3つ目が遺産分割対策。財産をどうやってもめることなく分けるか、というものですが、これらはみな密接な関係にありますので、一つひとつ切り離して考えるのではなく、総合的に考えていかなければならないんです。
   
社 長  へー。よーさんあるんやなぁ。これ、全部考えるんでっか。
   
税理士  はい。
   
社 長  ふーん。……でもやっぱ、この節税対策。これがやりたいでんなぁ。
   
税理士  うん、わかります。でも、そこだけ一生懸命やっても事業承継はうまくいかないんですよ。対策はバランスよくやらないと、どこかに歪みがでて、結局うまくいかなかったりするんです。
   
社 長  そんなもんでっか。
   
税理士  はい。事業承継っていうのは、会社の経営戦略に合った対策を実行しながら、経営権を移譲し、そして株式を移転し、結果として、相続税の負担が軽くなる。こんな対策でなければ。
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◎対策はバランスよく
   
社 長  ふーん。何かもひとつ、ようわからんけど。
   
税理士  どの辺が?
   
社 長  そやなぁ、たとえば、節税対策だけを一生懸命やったらどういうとこでうまくいかんのかとか、バランスよくやらなっていうのがどういうことなんかとか……。
   
税理士  なるほど。じゃあ、簡単な例でご説明しましょう。えーっと、では自社株対策で考えてみましょか。社長にはまだ、会社の株式をどうやって評価するかということをお話していないので少しわかりにくいかもしれませんが、株の評価っていうのは、テナントビルなんかを買えば一気に下がってしまうんですね。
   
社 長  えっ、そうなん!?
   
税理士  えぇ。でも、株の評価が下がるからといって、今の会社でたとえば借金してテナントビルを買ったらどうでしょう。借金、返していけるでしょうか。この冷え込んだ不動産状況でテナントビルに投資するというのは、収支面から考えても、無茶な話だと思いませんか。
 それにテナントが入るかどうかもわかりませんし……。
   
社 長  うん。そやな。
   
税理士  仮に会社にお金が余っていて、借金せずに買ったとしても、収支が良くなければ、お金が出ていってしまいますし……。そうなれば、本業の資金繰りにも響いてきます。
   
社 長  そりゃ困るな。
   
税理士  ですよね。つまり、こうして節税だけを考えて対策をやると、結局、どこかおかしくなってしまうんです。
 歪みが出るというのは、こういうことなんですよ。
   
社 長  なるほど。
   
税理士  だけど、これがたとえば、会社の事業を拡大するための工場を建てるとか、物流センターをつくるとかって話でしたらどうでしょう。ちょっと、状況が変わりますよね。
   
社 長  そりゃちょっと違うわな。なに、この場合でも、評価は下がるの?
   
税理士  ええ、テナントビルよりは少ないですけど。でも、こうした経営に必要なものに対する投資でしたら、商売にもつながるわけですし、悪くないでしょ。それでまた、株価が下がるのなら、なおいいですよね。
 会社経営の中で対策を考えるというのは、簡単にいうとこういうことなんですが……。
   
社 長  そうかぁ、それが事業承継を頭に置きながら経営するっていうことなんやな。
   
税理士  はい。
   
社 長  ってことは、株の評価方法とかも知っとかなあかんってことやな。
   
税理士  もちろんです。詳しく知る必要はありませんが、仕組みぐらいは知っといてもらわないといけませんね。また、そこらはご説明しますから、しっかり覚えてください。
   
社 長  よろしゅう、たのんます。
   
税理士  それと、相続税や贈与税の仕組みなんかもね。
   
社 長  そんなんもでっか。いろいろ勉強せんとあかんねんなぁ。
   
税理士  もちろんです。詳しく知る必要はありませんが、仕組みぐらいは知っといてもらわないといけませんね。また、そこらはご説明しますから、しっかり覚えてください。
   
社 長  よろしゅう、たのんます。
   
税理士  それと、相続税や贈与税の仕組みなんかもね。
   
社 長  そんなんもでっか。いろいろ勉強せんとあかんねんなぁ。
   
税理士  まっ、事業承継もひとつの大きな事業ですから。
   
社 長  そうか、そう考えたらええんやな。
 プラス思考、プラス思考っと。
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勘定合って銭足らず
   
税理士  それともう一つ、バランスよく対策するってことでしたね。
   
社 長  あぁ、それもどういうことか……。
   
税理士  じゃあ今度は、社長がテナントビルを買うという対策を考えてみましょか。
   
社 長  えっ、なに!? 私がテナントビル買うても株価が下がりまんの。
   
税理士  いえいえ、株の評価は下がりませんけどね、社長がお持ちの財産評価が下がるんですよ。相続財産の評価方法をお話していないので何ですが、土地や建物、特に賃貸物件の土地や建物の評価は、時価に比べてかなり低く評価される仕組みになっていましてね。
   
社 長  どれぐらいに?
   
税理士  一概には言えませんが、土地で2割、建物で6割ぐらいですか。
   
社 長  そんなに?
   
税理士  はい。ですから、こうしたものを買うと全体の財産の評価が下がるんです。
   
社 長  ふーん。
   
税理士  でも、会社の場合と同じで節税目当てで対策をすると痛い目に遭いますから、注意してくださいね。投資していい物件かとか、収支はどうかというのはもちろん検討しなければなりませんが、収支がいいからというだけで対策を実行してしまうと、大変なことになる場合がありますから。
   
社 長  でも、収支が合うんならええんと違う?
   
税理士  えぇ、相続を考えないのならね。
   
社 長  相続!?
   
税理士  ええ、現金をはたいてテナントビルを買ったはいいが、運悪くすぐ亡くなってしまったら……。相続税、納められませんよね。
   
社 長  あぁ、そっかぁ。
   
税理士  相続人の方が、現金持っておられればいいですけど。
   
社 長  そんなん、あらへんわな。
   
税理士  となると、皆さん、困ってしまいますよね。
   
社 長  そやなぁ。
   
税理士  会社の株は売れませんから、そのテナントビルを売るかですが、売れるかどうか……ですね。売れないとなると最悪、自宅を処分しなければならないってことにもなりかねませんが……。
   
社 長  えぇーっ、自宅を処分? あかんあかん、そんなこと。
   
税理士  ですよね。そんなことになってしまったら、元も子もありませんよね。
   
社 長  ……。
   
税理士  よしんば納税ができたとしても、こんな場合でしたら、どうやってこの財産を分割するかで、またきっと悩んでしまうでしょう。
   
社 長  うーん。
   
税理士  バランスよくっていうのは、こういったことも考えてということなんです。
   
社 長  なるほど、奥が深いんですなぁ。
(つづく)
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(納税月報 2004年6月号より)

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