相続 税理士 相続税対策なら大阪の三輪税理士事務所

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分社を活用した対策
 
 税理士 三輪 厚二 氏

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前回のポイント
・土地の評価には小規模宅地等の減額特例というものがあり、株式の評価には特定事業用資産の減額特例というものがある。

・小規模宅地等の減額特例は、宅地の用途や相続する人によって減額割合が違う(50%か80%)のでよく検討すること。

・特定事業用資産の減額特例は、生前に要件を満たすよう検討しておくこと。

・原則として、小規模宅地等の減額特例と特定事業用資産の減額特例は併用できない。

・特定事業用資産の減額特例は相続時精算課税制度の適用を受けて贈与した株式にも適用があるが、小規模宅地等の減額特例は相続時精算課税制度の適用を受けた土地には適用がない。

 前回は、小規模宅地等の減額特例と特定事業用資産の減額特例のお話をしました。今回は、分社を活用した対策、金庫株を活用した対策をお話して、事業承継対策のまとめをしておきます。


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◎分社を活用した対策
   
税理士  そうそう。分割対策と言えば、会社を分社するっていう対策もあるんですよ。
   
社 長  会社を分社!?
   
税理士  ええ、社長のとこはご長男の雅一さんと次男の亮二さんの仲が良いからいいんですけど、仲の悪い兄弟が会社に勤めているっていうときは、将来的に経営権をめぐってもめるってことがありますからねぇ。そういったときに会社を分社しておくという手もあるんです。
   
社 長  なるほど。
   
税理士  分社のパターンは大きく分けますと、このようになってましてね。
   
社 長  ほぉ。
   
税理士  分社(1)は、A社とB社が兄弟会社になる分割で、株主はいずれも父親です。そして、分社(2)は、B社がA社の子会社になる分割で、父親はA社の株式だけを保有することになります。
   
社 長  はぁ。
   
税理士  仲が良くない息子2人がもめそうだという場合には、分社(1)のような会社分割をして、たとえばA社を長男、そしてB社を次男に相続させて、それぞれ経営させるというようにすると、まるくおさまることがあります。
   
社 長  ほぉほぉ。
   
税理士  ただ、この場合、一定の要件を満たさないと、分社時の資産の移転に課税関係が生じますので、その点だけ注意しておく必要があります。まぁ、課税関係が生じてもやっておいた方がいいという場合もありますがね。
   
社 長  ふんふん。
   
税理士  社長のとこは関係ないかもわかりませんが、こういった分社もできて、分割対策として使えるってことぐらい知っておいてください。
   
社 長  はい、わかりました。
 

 
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◎金庫株を活用した納税資金対策
   
税理士  それから、自社株を相続したけど相続税を納める資金がないっていう場合のことですがね。
   
社 長  あぁ……、はい。
   
税理士  社長のとこみたいに、株は長男、その他の財産は他の兄弟にというとこは、大体、株を相続された人が納税できないって困っておられるんですね。
   
社 長  はぁ……兄弟が預貯金を取ってしまうから……ですか。
   
税理士  はい、そうです。で、ですね、そういった場合に有効なのが、自社株買取特例という制度を活用する対策なんです。ほら、金庫株って聞きますでしょ? 納税資金を作るために株式を会社に買い取ってもらうんです。
   
社 長  はぁ、金庫株ねぇ。聞いたことありまっけど、なんのこっちゃ、も一つ……。
   
税理士  会社が自分とこの株を持つこと、その株を指して金庫株っていうんですよ。
   
社 長  ふーん。
   
税理士  で、この自社株を会社に買い取ってもらった場合ですがね、一般的には、売却価格からその株に対する資本金等の金額を差し引いた金額、まぁ平たく言えば利益部分ですね、この部分は配当所得となりましてね、総合課税になるんです。総合課税ですから、他の給与所得なんかと合算して課税されますから、最高で50%の税率で税金が課せられてしまうんです。
   
社 長  へぇー、ごついねぇ。
   
税理士  でも、自社株買取特例を活用すると配当所得とならず、譲渡所得扱いされて、税金も20%の分離課税で終わるんです。(次頁図参照)
   
社 長  へぇー、そりゃあまた大違いやね。50%と20%とは。
   
税理士  それに、この場合には、自社株を譲渡した相続人が負担した相続税額のうち一定割合が、譲渡した株の取得費に加算できるという特例も受けられますので、さらに税負担が軽くなるようになっているんです。
   
社 長  へぇー。それやったら、使わな損やな。
   
税理士  そうですね。でも、一定の要件がありますのでね、これを満たさないといけないんです。
   
社 長  要件でっか。
   
税理士  はい。まず、1.上場していない株式であること、有限会社の出資持分には認められていませんので、有限会社の場合には組織変更をして株式会社にしておかなければなりません。そして、2.相続又は遺贈により取得した株式であること、相続人が生前から保有していた株式には適用がありませんので注意してください。つまり、相続した株式の範囲内ということです。そして、3.相続税の申告期限の翌日から3年以内にその発行会社に譲渡すること、となっています。
   
社 長  ふーん。3年以内にねぇ。
   
税理士  はい、その期間内に分割を終え、譲渡しなければいけません。もめていて分割が遅れたりしますと適用が受けられなくなってしまいますので……。分割って大切でしょ。
   
社 長  うん、そーやな。
   
税理士  配偶者に対する相続税額の軽減特例や小規模宅地等の減額特例、特定事業用資産の減額特例など、特典が大きい特例は必ず、分割が要件になっていますから。
   
社 長  なるほど。
   
税理士  それと、言うまでもないんですが、この金庫株の対策は、会社に株式の買取り資金がないとできませんので……会社に儲けてもらって、お金を残しておいてもらわないと……。
   
社 長  そうかぁ。つまりなんやな、事業承継対策をうまくやるには、会社に利益を上げさせな……ってことですな。
   
税理士  ええ、そうです。
   
社 長  なんとなく事業承継対策っていうのがわかってきたような気がしますわ。節税対策なんかより、後継者をきちんと育て、会社を利益の上がる体質にすることが大切で、家族が円満にいく財産分けを考え、税金の納付に困らんようにしておいてやるってことが肝心なんですな。
   
税理士  はい。いやぁ、そこまでご理解いただけたら、もう対策は成功したようなものです。あとは、具体的に考えていくだけですから……。
   
社 長  そうでっか。ほな、早う先生、現状評価しておくなはれ。
   
税理士  ひぇー、至急やりますぅ。
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  ※ 同じ譲渡所得でも、一般の場合と自社株買取特例の場合では税率が違います。
   

(おしまい)
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(納税月報 2005年 3月号より)

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