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特定事業用資産の減額特例
 
 税理士 三輪 厚二 氏

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前回のポイント

・相続税評価額と時価との差を活用するのが不動産対策の考え方。

・賃貸物件は、この差が大きいので対策効果は大きいが、節税効果だけを期待して実行してはいけない。

・不動産対策は収支が大切。

 前回は、不動産対策の考え方をお話しました。今回は、土地と株の評価特例である小規模宅地等の減額特例、特定事業用資産の減額特例をお話しましょう。



◎土地の評価特例
   
社 長  ところで先生、自社株や不動産対策の考え方は大体わかったんやけど、なんか自社株や不動産には特例があるそうでんな。
   
税理士  特例!?……ああ、小規模宅地等と特定事業用資産の減額特例のことですね。
   
社 長  はぁ、ようわかりまへんけど。
   
税理士  自社株も不動産も相続人が生活していくのに必要不可欠ということで、評価を特別に下げてくれる規定がありましてね。
   
社 長  ほぉ。特別にね。かなり減額してくれますの?
   
税理士  えぇ。結構大きいですよ。
   
社 長  ふーん。そりゃいいですな。
   
税理士  でもいろいろ細かい要件がありますから、今日はとりあえず、概要だけお話しておきますね。
   
社 長  はぁ。たのんます。
   
税理士  まず、小規模宅地等の減額特例について。この特例は被相続人から相続した不動産のうち、事業に使っている土地や居住している土地について50%から80%を減額してくれるというものなんです。次頁を見てください。
   
社 長  はい、えぇーっと、事業用に居住用……面積に減額割合、いろいろあるんですな。
   
税理士  はい。事業用は400m2、居住用はちょっと狭く240m2、70坪ぐらいですね、その他は200m2となってまして、事業を承継する人やそこに居住している人が相続する場合は基本的に80%減、その他の相続人が相続する場合は50%減となっているんです。
   
社 長  へぇー、そんなに。でも、相続する人によって減額割合が違うんでっか。
   
税理士  そうですねぇ。あの頃みたいにはないですけど……。でも、やはり評価額の方が低いでしょう。
   
社 長  そうでっか。最近はあんまり変わらんって聞くけど……。でもまぁ、考え方として、そういう場所の土地を買うと相続対策になるってことですな。
   
税理士  そうなんです。でも、どの宅地で適用を受けるかは選択できるようになっていますので、対象となる宅地がいくつかある場合には、一番減額が多くなるよう検討してみる必要があります。また、1m2当たりの単価が高い宅地については、 80%減額される特定事業用宅地等や特定居住用宅地等に該当するよう生前に用途変更しておけば、結構な対策にもなりますし……ね。
   
社 長  ふーん。
   
税理士  また、何人かで相続するときは、 その中に要件にかなっている相続人が一人でもいれば、その宅地の全体についてこの適用が受けられるということになっていますので、 このへんを考えて分割するとおトクになります。
   
社 長  へぇー、そんなノウハウがあるんでんなぁ。
 
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(注1) 事業には、事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うもの(準事業)を含みます。
(注2) 不動産貸付業とは、不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業をいいます。
(注3) 特定事業用宅地等とは、事業用宅地等のうち次の宅地をいいます(不動産貸付用の宅地は除きます)。
 
1. 被相続人が営んでいた事業を申告期限まで引き続き承継し、かつ、保有しているもの
2. 被相続人と生計を一にしていた親族が相続開始前から申告期限まで自己の事業の用に供し、かつ、保有しているもの
(注4) 特定居住用宅地等とは、居住用宅地等のうち次の宅地をいいます。
 
1. 配偶者が取得したもの
2. 被相続人と同居していた親族が申告期限まで引き続き居住し、かつ、保有しているもの
3. 1.及び2.がいない場合で一定のもの
4. 被相続人と生計を一にしていた親族が相続開始前から申告期限まで自己の居住の用に供し、かつ、保有しているもの
(注5) 特定同族会社事業用宅地等とは、次の要件を満たす宅地等をいいます。
 
1. 相続開始直前において、被相続人等が株式の50%超を有する法人の事業の用に供されていること
2. その法人の不動産貸付業等以外の事業の用に供されていること
3. 宅地等を取得した親族等が相続税の申告期限においてその会社の役員であること
4. その親族が申告期限まで引き続きその宅地等を有し、引き続きその会社の事業の用に供していること
   
 
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◎自社株の評価特例
   
税理士  えぇ、まぁ。それと自社株については、特定事業用資産の減額特例というのがありまして、被相続人から下表に書いてある要件を満たす非上場株を相続した場合には、 その株式等のうち発行済株式総数の3分の2以下に相当する部分、 3億円を限度としますが、これについて10%減額してくれることになっています。
   
社 長  3億円の10%……か。
   
税理士  はい。最高3000万円ですね。
   
社 長  なるほど。……そやけど、この両方の特例を合わせたらだいぶ下がりますな。
   
税理士  あぁいや、これらの規定は両方受けられませんでね。基本的には、どちらか一方だけしかダメなんです。両方受けられるのは、小規模宅地等の減額特例に使い残しがある場合だけ。この場合にだけその使い残した分に特定事業用資産の減額特例を適用することができるんです……。ですから、どちらを使うかはよく検討してみなければならないんです。
   
社 長  ナニ、両方使われへんのかいな。
   
税理士  あ、はい。どちらか一方だけしか。
   
社 長  なぁーんや。
   
税理士  でも、使い方次第では……ね。かなり。
   
社 長  そりゃあまぁ、そうやけど。
   
税理士  それと、この特定事業用資産の減額特例は、相続時精算課税で先に相続人に贈与しておいた株にも適用がありますので、株の評価が上がりそうでしたら、相続人に精算課税を使って贈与しておいてもいいんですよ。
   
社 長  へぇー。精算課税で贈与した株にも適用されるの?
   
税理士  はい。この特例は、中小企業の事業承継をスムーズにさせることを目的として創られたものですから、精算課税を使って贈与した株でもOKなんです。
   
社 長  へーぇ、もう片っ方の小規模宅地のほうは?
   
税理士  小規模宅地等の方は、贈与した財産には適用されませんので、小規模宅地等の適用を受けようとするのであれば、その宅地等は、贈与してはいけません。
   
社 長  あぁ。そうなん。
   
税理士  はい。
   
社 長  ちゅうことは、こうした特例を活用しようと思うと、あらかじめ、ある程度相続について検討しておかなあかんってことですな。
   
税理士  そうですね、それにこれらの規定は、どちらも申告期限までに誰が相続するか確定していないと適用がありませんので……。もめないようにしておかないと。
   
社 長  なるほど。分割対策をきちんとしておかねばってことですな。
   
税理士  はい。
   
社 長  じゃあ、遺言でも書いておきますか。
   
税理士  そうですねぇ。いいんじゃあないですか。
   

(つづく)
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相続、相続税対策のことなら大阪の三輪税理士事務所                                                    
(納税月報 2005年 2月号より)

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